しばらく車に乗っていると、見慣れた景色が見えた。しかし、その前をスッと通り過ぎ、思わず後ろを振り返る。
「あれ、今のところじゃなかったでしたっけ。」
そして、私は慌てて千秋さんの方を見た。
「あー、うん。」
しかし、返ってきたのは曖昧な答え。
マンションに戻るのかと思いきや、その道は通り過ぎた。この車がどこに向かっているのかも分からずに、進む道をキョロキョロと見渡す。
その時、突然どこかの駐車場に入った。
「え、あの、千秋さん。」
そこは、ホテルだった。状況がつかめずにいる中、車を降りてどんどん進んでいってしまう彼。私は、ただついていくしかなかった。
ホテルのカウンターの前を通り過ぎ、慣れたように歩いていく彼が立ち止まったのは、エレベーターの前。彼についていき、エレベーターに乗ると、押したボタンは最上階。
扉が開くと、目の前には水族館のような空間が広がっていた。
「いらっしゃいませ。藤澤様、お待ちしておりました。」
ウェイターの男性に迎えられ、彼は親しそうに挨拶を交わす。
真っ白なテーブルクロスが敷かれた丸いテーブルが並び、お皿の上には折られたナフキンと、綺麗に整えられたカトラリーが置かれている。そこは、雰囲気のあるレストラン。

