「晴日さん、お仕事は何を?」
すると、突然振られた会話。思わず固まった。
無職。素直にそう打ち明けていいものなのか、打ち合わせになかった質問を受け、戸惑っていた。
「彼女、ご実家が病院経営をされているんです。」
そこに、察した千秋さんが割って入ってくれた。
「そこで経理の仕事をしていたんですが、僕との結婚を機に退職して。今はうちで仕事を探しているところです。」
さすがに、勘当されたとは言えるわけもなく。本当と嘘を入り交えながら、代わって説明をしてくれた。
「そうだったの。」
「聖子、そろそろ。」
「ああ、そうね。もっとお話したいのだけど、あまり時間が取れなくて。」
今日の主役である聖子さん。後方には、挨拶しようとするお偉い方々が列をなして待っている。
私は、慌てて首を横に振った。
「晴日さん、千秋のこと頼みますね。」
そして、ご両親はそのまま、場内の挨拶回りに歩き出す。嵐のようなひと時だった。

