「あー、えっとー。」

「あ、もしかして、もう来た?」

「はい....。」

 私は、内心ドキドキしていた。

 このドレスに、どんな意味が隠されているのか。突然の贈り物に、戸惑いを隠せなかった。


「着てみた?似合いそうなの選んだつもりだけど、サイズがいまいち分かんなくて。」

「あ、えっと、ちょ、ちょっと待ってください。」

 私は、一人っきりの部屋で慌てて服を脱ぎ捨てた。電話を繋いだまま、急いでドレスに袖を通す。


 すると、鏡を見てビックリ。サイズはぴったりと合っていた。

「サイズ、ぴったりです!」

 鏡の前でくるりと一周回り、モデルにでもなった気分だった。自然と口角が上がり、顔はニヤけてしまう。

 その素敵な格好に気を取られ、一瞬携帯を机の上に置いたまま、電話が繋がっていることさえ忘れそうになっていた。


「おお、良かった。じゃあ、週末にパーティーがあるから、それ着て一緒に来てくれる?」

「え?」

 浮かれていると、スッと真顔に戻り耳を疑う。

「今、なんて??」

「詳しくは、また帰ったら話すから。じゃあ、そういうことで。」

 そして、一方的に切られた電話。"通話終了"と表示された画面の前で呆然と立ち尽くし、頭がついていかなかった。