ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


「双葉、これこれ。」

「ああ!そうだった。書くんだよね。判子も、ちゃんと持ってきたから。」

 私は、まだまだ続きそうな彼女の追求を止めるように、慌てて婚姻届を目の前に出す。

 放っておけば、いつまででも話していそうな勢い。これは、強制終了するしかなかった。


「まさか、晴日の婚姻届に名前を書く日が来るとはなー。」

「そう?」

「うん!」

 言われてみると、出会ったのは中学生の頃だった。あれから15年。それを思うと、感慨深い。書きながらそう言う双葉と目が合い、思わずニヤけてしまう。

「よし、書けた。」

「ありがとう。」

 証人欄に書かれた、"佐藤 双葉"の文字。だんだんと完成されていく婚姻届を見て、少しずつまた実感がわいてきた。



「やっぱ意外だなー、こういうの受け入れるなんて。」

 要件を終え、カフェを出て帰ろうとしていた時。駅に向かおうとする私たちを引き止めるかのように、そう声を漏らした。

「そうなの?」

 それには千秋さんも振り返り、耳を傾ける。