ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


 私は、本当にどこまでバカなんだろう――。


「酔った勢いで言ったことなんて、気にしないでください。」

 私は、開き直るように精一杯強がってみた。きっと、それは私の本心だけど、ここで弱みを握られたくない。認めたくはなかった。


「ふーん。じゃあ、するんだ。親の言いなりで結婚。」

 私を怒らせようとしているのか。それとも、これが素なのか。トゲのある言い方をして、私をイライラさせようとしてくる。

「別に、どうしようと勝手ですよね。」

 それには、思わず強気に言い返していた。


 たしかに、一生に一度の結婚を家のために捧げろと言われ、悔しくなかったわけじゃない。腹が立ったし、汚いやり方には失望した。

 でも、私はまだ諦めてはいなかった。


「傾いた経営を救う方法が、今時政略結婚だなんてありえない。もう一度ちゃんと話し合って、いい方法を探します。」

 そう言いながら、膝に置いていた拳には力が入った。

「そんな悠長なこと、言ってられないんじゃない?」

 しかし、そんな私の希望はすぐに全否定。眉がピクッと反応する。


「だって、そうでしょ。お姉さんと君の彼氏が結婚させられてから1週間。君はお見合いをさせられた。どう考えても、急いで結婚させたいって考えが見え見えだけどね。......俺の予想だと、来週には籍入れてるよ。」

 黙っていると、追い討ちをかけるように論破してくる彼。

 そんなことあるはずない。そう言い返してやりたい気持ちでいっぱいだったけど、彼の分析があまりにも的確な気がして、何も言い返せなかった。