ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


 披露宴を終え、続々と帰っていく人たちが、腫れ物に触るように私を見ていた目。突き刺さるような視線に耐えきれず、逃げ出した私が泣いた場所。

 それは、私だけが知る、私だけの秘密だと思っていた。

「ちょうど、ここから見てたんだ。」

 その瞬間、耳がボッと熱くなる。


 私は、まるで覚えていなかった。

 新婦側の参列席に座るのは、父や病院の関係者ばかり。次期病院長のお披露目の場のようになっていた式。

 しかし、その中に千秋さんがいたことなど、私は今の今までまるで気づいていなかった。


「あんな辛い状況、本当なら見てらんないはずなのに。グッと我慢して、気持ち押し殺して、必死でみんなの前に立ってた。健気でかわいそうだって思ってたけど、強いんだなって感心してた。」


 矢島さんとのことで頭がいっぱいいっぱいで、あの日はほとんど何をしたか覚えていない。

 ボーッとしている間に、終わってしまったような感覚だった。


「俺なんて、彩の心臓を持ってる人が結婚するってだけで、彩が他の男にとられたみたいだって。正直、辛くて仕方なかったのに。」

 ハハッと笑い、無理やり笑顔を作る横顔を見た。

「でも、晴日ちゃんが泣いてる姿見てたら、なんでか目が離せなくなってて。強いんじゃない。強がってるだけで、本当は脆いんだって。無性に守りたくなった。」