レストランを出た私たちは、式場の中のガーデンスペースへと顔を出す。
桜の式で見た景色からガラリと変わり、クリスマスの装飾が辺り一面に施されていた。
「初めて晴日ちゃんを見かけたのは、零士のバーだった。」
誰もいない静かな空間。
噴水が輝くように流れるのを目にしながら、千秋さんの言葉よりも、あの日の記憶が蘇った。
「会社を継いで、すぐの時。」
すると、そう付け加えた言葉にハッとする。反射的に顔を上げると、驚いて、動揺して、千秋さんを見る目が大きく見開く。
「すぐの時って、.....3年前?」
「愚痴を言うわけでもなく、ただ黙って一人で、やけ酒みたいにカウンターで飲みまくってた。綺麗で上品なお嬢様。なのに、飲み方は男みたいだなって、最初は面白がって見てたんだ。」
驚いた。
思えば、最初に会った日、彼は親友のバーで慣れたように飲んでいた。私だって何年も通い続けていた場所。
そんな2人が、今まで一度も会わなかったという方がおかしな話だった。
「それが、あの日はあのアーチの裏で泣いてたよな。」
「え....?」
「緑のドレスが自然に紛れて、帰っていく人たちから隠れるみたいに、あそこで立ったまま泣いてた。」
そう言う彼がボーッと視線を向けるのは、噴水の奥に見えるフラワーアーチ。
背中越しに感じた騒がしさの中、隠れて泣いたあの日のことを思い出す。

