その瞬間、浮かんだ顔はひとつしかなかった。

 創くん――。

 申し訳なさいっぱいになりながら、その優しさに心が傷む。

 私には勿体ないくらいの、真っ直ぐ純粋な気持ちを向けてくれていた。創くんのおかげで、助けられたことを山程あった。

 7つも年下の男の子。だけど、この半年、1番頼れる男性は彼だった。


「あの子、晴日ちゃんのこと好きなんだね。」

 優しく微笑む千秋さんの顔が、私を見下ろす。誤魔化すようにハハッと笑うと、彼は大きくため息をついた。

「敵は多いなー。小学生の生意気ボーイに、イケイケの大学生。」

「ちょっとっ!」

 慌てて口を出し、顔を見合わせる。目があった瞬間、不思議と笑みが溢れた。


「明日、待ってます。」

 花束を優しく抱きしめると、無性に愛おしくなる。

 私は彼と目を合わせ、にっこりと微笑んでいた。