立ち止まり、思考が停止する。鞄はするりと地面に落ち、慌てて止めにきた彼と目が合いながら、へなへなと足の力が抜けた。
ホッと胸を撫で下ろし、私はその場にしゃがみこんだ。
「祝日。早く言ってくださいよ.....。」
「言おうとしたけど、無視するから。」
そんな私に手を差し伸べてくれる様子もなく、非情な彼はスッと顔を背けていなくなる。
"感じの悪い男"は、どこまでも嫌な男だった。
「コーヒーは?」
「じゃあ、いただきます......。」
私は渋々立ち上がり、リビングルームに戻る。中央に置かれていた白い皮のソファへ遠慮がちに座ると、改めて部屋の中を見渡した。
生活感のない家。
テレビとソファとテーブルと.....、モデルルームのような部屋だった。家具は全てオシャレなのに、もったいない。少し散らかっていてもいいようなものの、小物の一つも置いていなかった。
「何?気になる?」
キョロキョロしていると、急に目の前に置かれたコーヒー。人影にびくっと反応しながらも、私は慌てて首を横に振った。

