「結局、私はお前を傷つけてばかりだな。」
あまりに素直な言葉に、目の前にいるのが本当にあの父なのか。疑ってしまいそうになる。
「小さい頃からいろんなものを諦めさせた。病院を継ぐことが、お前の運命だと育ててきた。それがなんだ。結局、その病院を継がせてやることもできなかった。.....居場所も家族すら、奪ってしまった。」
涙が、止まらなくなった。
溜め込んでいた涙が、耐えきれずに流れ出す。ボーッと前を見つめたまま、震える唇をギュッと噛んだ。
「千秋さんとの結婚は、本当に何も......何も知らなかったんですね。」
最後に、もう一度確かめるようにそう尋ねた。
私は声を震わせながら、何も言わない父の反応を見て、涙を拭う。脱力感に襲われるように、体中の力が抜けた。
見えていた景色が何もかも、がらりと変わった瞬間だった。

