ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


 私は、千秋さんのことを何一つ理解していなかった。

 こんなにも私を思い、考えてくれていた彼。私はそんな気持ちも知らず、自分の考えばかり押し付けて、彼のことを決めつけて....。最低なことをしていた。


 私の実家へ、1人で挨拶に行っていた千秋さん。

 出資したことを黙っていてほしいと言った千秋さん。

 私が想像していたような政略結婚とは違う。父の話を聞くうちに、薄々、何かが違うと分かっていたようにも思う。

 何より、この結婚に、父は何一つ関わってはいなかった。


「すまなかったな.....。」

 それは突然だった。

 時間が止まったような気がして、ぶわっと体中に走る感覚。溢れ出しそうになる涙が目にたまり、呆然と一点を見つめていた。

 厳格で、頑固で、弱みなんて見せたことがない。典型的な亭主関白だった父。謝ってる姿だって、見たことがない。

 それが今、なんと言ったのか。

 動揺と困惑で、視線が定まらなかった。