すると、「もうっ」と言う声と共に、双葉は両手で私の頭をガシッと掴む。
「たまには私みたいに、図々しくなれっ!」
「ちょ......」
「相手の顔色なんてくそくらえ。」
頭を持たれたまま、ジッと顔を突き合わせる。
図々しく――。
そう言う双葉があまりに真剣に言うもので、だんだんとこの状況が可笑しく思えてきた。吹き出すように鼻から息が漏れだし、変なツボに入った。
「その自覚はあるんだ。」
私は耐えきれず、くすくすと笑う。
そんな私からゆっくり手を離していく双葉は、怪訝な表情を見せたかと思うと、すぐにつられたように笑い出した。
「もー、とにかくっ!晴日も千秋さんも、会話が足りなさすぎなの。その、創くんだって言ってたんでしょ?なんか変だって。辻褄合わないって。」
「まあね?」
「ちゃんとハッキリさせてきなよ。自分がスッキリするまで。」
店内に流れる穏やかなジャズ。
今になって、そのBGMがやっと耳に入ってくるようになった。

