ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


 嘘はなかった――。

 そう言った彼の言葉を信じたい。この指輪を見ていると、本当に嘘はないように思えてくる。私にとって、これが唯一の希望の光になっていた。


「言っちゃ悪いけど、晴日ってさ。大事な時に言葉が足りないよね。」

 すると、突然始まった説教。

「え?」

「中学の時、いじめられてた時もそう。きっかけは、ただのとばっちりだったのに、違うってハッキリ言わないから。ズルズルあんな奴らに標的にされちゃって。」

 そして、持ち出されたのは、十何年も前の話。


「いつの話してんの....。」

 驚き混じりにそう声を漏らし、苦笑いを浮かべると、双葉は私をキッと睨みつけ、頬を膨らませた。

「あれから結局、本質は変わってないよって話。」

 テーブルに頬杖をつき、こちらをジッと見つめながら言う。その真剣な眼差しにドキッとさせられ、思わず目を逸らしたくなった。

「お父さんにもそう。千秋さんにもそう。本当は言いたいこと山ほどあるくせに、その言いたいことの半分も言えてない。心の中にとどめて、口に出すとこまでいかないじゃん。」

 だんだんと口調が強くなり、昔ヤンチャしていた頃の双葉を見ているようだった。


 私は黙り込んだまま何も言えずに、また静かにミルクティーをすする。

 正直、言っていることは確信をついている。何一つ、言い返せる気がしなかった。