ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


「その、私が年の話を持ち出しといて、こういうこと言うのあれだけど。」

 私はそれでも気を取り直して、言葉を選びながら、改めて話を始める。

「私たちの年が離れてなかったとしても、やっぱり、そういうことは考えられないと思う。創くんは、良い友達。これからもそう。だから――」

「もう良いっすよ。」

 目を泳がせながら、必死に話す私を見兼ねたように、急に立ち上がりそう言った彼。


「あっさり、オッケー貰えるなんて思ってなかったし。旦那(仮)もいるから、想定内です。来週のクリスマスの予定がなくなったくらいですかねー。」

「(仮)って。私、これでも本気で.....」

「ものの数分考えただけの答え、本気なんて認めませんよ?」

つられるように立ち上がると、途端に見つめられそう言われる。思わず、何も言えなくなった。


「じゃ、また明後日。」

「えっ、だから.....」

「とりあえず、好意とか抜きにして、俺が送るのやめた途端なんかあるとか寝覚め悪いんで。また送ります。」


嵐のような数分間。

頭を軽く下げ、去っていく後ろ姿を目で追いながら、呆気に取られる。私は目をパチクリとさせながら、なぜか速くなっていく心臓に、自然と手を当てていた。