ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


「あのさ、自分で言うのもなんだけど、私、27なの。なんなら年明けてちょっとしたら、28。アラサーまっしぐら!」

 必死に言葉を選びながら、彼の前に座り込み、同じ目線になって言う。

「だから?」

 しかし、動じない彼の真顔にうろたえて、顔をひきつらせた。


「いや、だからって言われても.....。」

「年なんて関係ないっすよ。」

「んー、なくはないと思うんだけど....。」


 今は何と言ってもこうなるような気がして、ハハっと心ない笑いを浮かべる。


「はぁ....。」

 すると、そんな私を見て、大きなため息をつく彼。私の顔をまじまじと見て、衝撃的なことを言った。


「ちなみに俺、前の彼女10個上。高校の時の先生。」

 さらりと、爆弾発言。


「うっそ。」

「ほんと。」

 口が開いたまま、閉じることを忘れていた。私への想いを匂わせたことを、忘れそうになる。

 それくらいの衝撃を受けた。

「まあ、付き合ったのは大学入ってからなんで、変な想像しないでくださいね。」

「いや、それでも.....。」

 10代の彼を射止めるなんて、どんな魔性の女だろう。頭の中で、勝手に妖艶な女性を作りあげ、力が抜けた。