頭が、割れそうに痛かった。
フカフカのベッドの上。でも、いつもと少し違う寝心地。起き上がる私は、辺りをキョロキョロと見渡して、見慣れない風景に困惑する。
モノクロで、殺風景な部屋。ゆっくりと周りを見渡した。
「ここ、どこ.......」
頭の整理がつかないまま、ベッドから降り、自分の格好を確認する。とりあえず、着ているものは昨日と同じ。
私は近くに姿見を見つけ、鏡の前に立った。
少しパサついている栗色の髪にスッと指を通しながら、顔も髪型も服装も、昨日と何一つ変わっていない様子に安堵した。
「イタタタタ.....」
重い頭に手を置き、恐る恐る一つしかないスライド型の扉を開けた。眩しいほどの光が差し込みギュッと目を瞑る。
すると、次に目を開けた時、思わぬ光景に絶句した。
「あ、起きた?」
目の前は、リビングルームらしき部屋。左手に見えるキッチンカウンターで、1人の男性が優雅にコーヒーを飲んでいた。
それは、あのバーにいた"感じの悪い男"だった。

