「胡桃のこと。気にしてるなら、別に俺らなんでもないですから。」
すると、私の心を見透かしたように、呆れた顔をしてそう言ってきた創くん。真意をつかれドキッとしながら、苦笑いを浮かべた。
あの日――アルバイトが終わったにも関わらず、創くんが私を迎えにきた日。
あれから、胡桃ちゃんの態度は大きく変わった。
今までは、当たりは強かったけれど、仕方なしに話はしてくれた。嫌われているとはいえ、挨拶はしてくれていた。
でも、あの日以来、話しかけると冷たくされ、お疲れ様の一言すらない。それが、無性に悲しく思えた。
私は、胡桃ちゃんの恋を邪魔したいわけじゃない。
もし嫌な思いをさせているのだとしたら、少しでもどうにかしたい。2人をくっつけようとしてるわけじゃないし、大きなお世話かもしれないけど、胡桃ちゃんの気持ちも少しは分かる気がするから。
私に今できることは、彼に近づきすぎないことだと思った。
「ごめんねー、本当に。あんなこと聞かされて、心配してくれって言ってるようなもんだったよね。」
全ては創くんの優しさだったから。嫌な思いをさせないように、迷惑そうに見えないように、そう言ってなるべく明るく振る舞って見せた。

