それから、胡桃ちゃんに続くように店を出た私は、裏口から出てすぐに、きゃっきゃと甲高い声を聞いた。
暗闇の中に見える、2つの人影。
街灯が、スポットライトのようにその場所を照らしていた。
カップルのようなシルエット。見ないようにと目を伏せながら、私は足早に通り過ぎようとした。
「あっ。」
しかし、通りに出ようとする私を見て、1人がそう声を出す。
「えっ。」
声に反応し顔を上げると、その瞬間、目が合った。
そして、思わずそう声を漏らす私が見たのは、昼間、家に帰ったはずの創くんだった。
先程、アルバイトを終えたばかりの彼と、交代するようにここで会ったはず。それがなぜか、また舞い戻ってきていた。
隣には、彼にピッタリとくっつき、腕を絡ませる胡桃ちゃんが立っている。私の存在に気づくと、またもやこちらをギロリと睨んだ。先ほど聞いたのは、彼女の声であった。

