結局、なんだったのだろう。急にスイッチが切り替わったように帰ってしまい、彼の考えていることは分からない。
何か言ってほしかったわけじゃない。けれど、何も言われないと、それはそれで気になる。
結局こちらでもモヤモヤして、そんな感情が残るだけだった。
それから、7時間。私は無心で働いた。
今日のディナータイムは予約で埋まり、一段と忙しかった。そのおかげもあってか、余計なことを考えなくてもすみ、少しホッとしている自分がいた。
「じゃー、皆そろそろ上がっちゃって。お疲れ。」
オーナーの声と共に、皆はバラバラと挨拶をしながらタイムカードを切っていく。それぞれ流れるようにスタッフルームへ入っていくと、私はロッカーを開けた途端、どっと疲れが出た。
無意識に首を動かしながら、制服を脱いでいく。
その時、私はその場にいたもう1人の人物を見て、急に手が止まった。
「なんですか?」
斜め向かいのロッカーを使う、可愛らしい顔立ちの彼女。私の視線に気づき、嫌そうな表情をする胡桃ちゃんだ。

