すると、パチッという音だけが聞こえてくる。同時に、瞼の向こう側が少しだけ暗くなったのを感じ、思わず目を開けた。
その瞬間、ベッドが軋み、心臓の鼓動が一気に加速する。その場で石にされたように、身動き一つとれなくなった。
背中越しには、感じられない彼の熱。
しかし、少し遠くに気配だけは感じた。
必死に寝ようとすればするほど意識して、まるで寝られる気がしない。寝返りを打つこともできず、同じ体制のまま、その場で固まっているしかなかった。
「起きてる?」
その時、千秋さんの声にギョッとする。
「起きてます。」
少しだけ声に距離を感じながら、私は平静を装った。
「元気にしてた?」
静まり返る寝室に広がる低い声。なんだか、変な感じがした。
「それ、今更ですけど。......でも、はい。」
「そっか。良かった。」
私たちの会話は、きっと初めて会った頃よりもぎこちないものだった。
思い返せば、初対面の印象は最悪。いつも少し馬鹿にしたような言い方をされ、いちいち癇に障る人だった。
けれど、一緒にいるうち、いつの間にか雰囲気は柔らかくなっていったように思える。どこか、変わったような気がした。
いつしか、暗闇で目を開けたままボーッとしていると、だんだん無心になっていた。

