ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜


「いっ.....」

「ん?」


「一緒に寝ませんか、こっちで。」


 やっとの思いで出た言葉。

 部屋は明るいままで、思わず顔を上げると、彼はひどく驚いた顔で固まっていた。きっと、私がそんなことを言い出すなんて、思っても見なかったんだろう。


「ほら、あの、ダブルベッドだし。両端に寝れば、別に遠いですから....。」

 誤魔化すように、慌てて付け加えた言葉たち。


「いや、でも――」

「私が嫌なんですっ!」


 それでも引かない彼を見兼ねて、思ったよりもだいぶ大きな声が出た。私はハッとして顔が赤くなり、目を逸らす。


「明日、仕事なんですよね。そんなところで風邪ひかれて、看病しなきゃいけなると、困るので。」

 思わず、そんな思ってもないようなことを、口走っていた。


 全然、素直じゃない――。

 私が言いたかったのは、こんなことじゃない――。


 そう思いながらも、返事を聞かずにベッドへ横になる。出来るだけ端の方で身を縮こませ、彼から見えないようにと口元まで潜り込んだ。


 心は少し軽くなり、言えたことへの達成感にホッとする。

 しかし、返ってこない言葉にドキドキとしながら、ギュッと目を瞑った。