「あ。」
その後、結局会話を交わさないまま、私は部屋にこもってしまい、次に顔を合わせたのは深夜のことだった。
なかなか眠れずにリビングへ行くと、一足先に水を飲んでいた千秋さんとたまたま遭遇した。
昨日の一件があって以来、私たちはまだちゃんとした会話をしていない。
かすかに発せられた声を置き去りにし、私は気まずさを前面に出して冷蔵庫の前に立つ。
ミネラルウォーターをコップに注ぎ、キッチンの壁に寄りかかった。カウンターに座る彼と対面し、ちらちらとお互い目を合わせる。しかし、わざとらしく声はかけなかった。
相手を意識するあまり、当たり前の動作すらぎこちなくなってしまう。それでも、互いにその場を離れようとはしなかった。
私は、彼からのアクションを待っていた。
しかし、しばらく沈黙が続いたが、一つとしてそんな素振りは見せてくれない。なんだか無駄に期待して待っていた自分が、だんだんと恥ずかしく思えてきた。
コップを置き、退散しようと一歩を踏み出す。
「お酒。」
その時、きっかけを待っていたかのように、千秋さんが声を出した。
「一杯、付き合ってよ。」
思わず立ち止まると、そのタイミングの悪さにクスッと笑ってしまいそうになる。一瞬考えた後、私は黙って頷いた。

