まさかすぎる展開とあまりにも可愛い礼央に、だんだんと口元が緩んだ。慌てて表情を隠すために顔を背けると、隣で千秋さんは声を出して笑い初めた。
「なんで笑うんだよっ!」
「いや、ごめんねっ。まさか、こんな可愛いライバルができるとは、思ってなかったから。」
「バカにするなー!」
おもむろに立ち上がり、ムッとする礼央の前にしゃがみ込む。座ったままそんな2人を見下ろしていたら、なんだか愛おしくなってきた。
「おじさん、何歳?」
「37歳。」
「えー、そんなおじさんかよー。」
「おいっ!もう最初っから、おじさんって言ってただろー?」
内心、私は少しだけ不安だった。流れでこうなってしまったけれど、もし子供が苦手だったらどうしようと。
でも、2人のやり取りを見ていたら、そんな不安もすぐに消えた。
礼央の頬っぺたをつまんで引っ張ったり、じゃれ合ったりしながら無邪気に笑う。初めて見る子供みたいな笑顔には、目を奪われた。なんだか、得した気分。
いつまでも見ていられるような......
吸い込まれるような感覚がした。