「真佳、ちょっと手伝って~」
リビングで段ボール箱の中身を整理していると、私の部屋からお兄ちゃんの声がした。「はぁい、今行く!」と返事をしながら手にしていた小説を箱に戻す。
ひょっこり顔を覗かせると、お兄ちゃんは先日買ったばかりのベッドを組み立てている最中だった。
「助かる。ここ、支えてて」
「こう?」
お兄ちゃんは「ん」とひとつ頷くと素早くビスを打ち込んでいく。真剣な横顔をこっそり眺めていると、ものの数分もしないうちに「よし、こんなもんかな」と手を打った。
ふたりで支えながら部屋の端に設置する。木製の可愛らしいベッドだ。