「真佳ーっ!会いたかったよー!!」
ロサンゼルス空港の到着出口、人目もはばからずそう言って抱きついてきたのは、四年ぶりの再開になる郁ちゃんだった。
私が二年浪人したので、私よりも先に大学を卒業したした郁ちゃんは今年で社会人二年目になる。
貴重なゴールデンウィークの休暇を利用して、私の住むロサンゼルスまで遊びに来てくれたんだ。
「郁ちゃん……!久しぶりだね、会いたかった!」
「ああー……ほっとする。真佳がアメリカンギャルになってたらどうしよって思ってたから、相変わらずで安心した」
「アメリカンギャルって」
ふふ、と吹き出して郁ちゃんの背中に手を回した。
「おい郁美。お前、自分の荷物くらいピックしてからいけよ……」
「もー、私と真佳の感動の再会に水差さないでよ、陸!」
海外旅行用の大きなキャリーケースを二つがらがらと引っ張りながら現れたのは、高校時代よりも髪色が少し落ち着いた長谷川先輩だった。
「長谷川先輩、久しぶりです!」
「おー、真佳ちゃん。久しぶり、元気そうでよかった」
この6年間で変わったことといえば、長谷川先輩が私のことを"妹ちゃん"と呼ばなくなったこととか、長谷川先輩と郁ちゃんが付き合うことになったこととか。