手を伸ばして拾い上げる。ホコリの着いた背中を優しくはらった。

16歳の誕生日に貰ったくまのぬいぐるみだ。


貰った時はもっと真っ白だったけれど、年月とともに日に焼けて、今は少しくすんだ色をしている。


星空を閉じ込めた瞳を見つめ、ふわふわの耳にそっと触れる。

星の形をしたダイヤのピアス。


両耳に着いていたはずのそれは、気が付けばひとつになっていた。

引越しで無くしたのか気がついた時には無くなっていて、必死に探しまわったけれども結局見つからず、声を上げて泣いたんだっけ。


まるで今の私を表しているみたいで、少しだけ笑えた。



星を無くしたあの日から、私は一歩も前に進めていない。