「真佳は何も……っ」


何かを言いかけて通話が切れたらしい。

お兄ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔でスマホをポッケにしまった。


「どうしたの?誰との電話……?」

「────神崎の、叔父さん。凛が学校で倒れて、運ばれたって連絡が」


え、と目を見開いた。

凛ちゃんが、学校で……。


お兄ちゃんは何かをこらえるようにきつく目を閉じると私の手を強く握った。


「真佳も、一緒に病院へ来てくれる?」

「それは、構わないんだけど……真守、ひどい顔色だよ。大丈夫?」


その頬の手を伸ばすと、お兄ちゃんは目を伏せて私の手に自分の手を重ねた。