何よりも伝えたいのはその気持ちだった。


「私を見て。嫌いにならないで。真守が好きなの……っ」


痛いくらいに抱きしめられた。

壊れ物を扱うような手つきも、少し遠慮するような力加減も、お兄ちゃんの優しさが伝わって嬉しかった。

けれども言葉で言わずとも、その気持ちが分かるくらいに抱きしめてくれる今の方がずっといい。


「大事にしたいから、ずっと我慢してた。でも、それが真佳を不安にさせるならもうしない」


その瞬間、唇に熱が振ってきた。

私の頭を捉えた手は、まるで「逃がさない」とでも言うかのように力強く私を抱き込む。

驚きと少しの怖さと、でも胸の中を占めるのは涙がこぼれそうなほどの幸せな気持ちだった。


頬に自分のものでは無い暖かい雫が降ってきた。


ゆっくりと唇が離れ、直ぐにその頬に手を伸ばした。


「好きだ、真佳。真佳は俺の宝物だ」


どんなにみにくい感情もどんなに汚い心の中も、丸ごと抱きしめてくれるこの腕の中にずっといたい。

そして私も、そうであれるようにいたい。