8月10日、私が生まれた日。
ちゃんと家族に祝ってもらった記憶はほとんど無くて、残っているのは養護施設でユミコ先生や皆にお祝いしてもらった記憶ばかり。
お兄ちゃんと、家族と、それ以上に大切な人と、誕生日を一緒に過ごせるということが何よりも嬉しくて。
気がつけばボロボロと涙が溢れた。
「嬉しい、本当に……ありがとう、真守」
「ん、どういたしまして」
私の涙を拭ったお兄ちゃんは「笑って」と私の頬をつまむ。
いひゃい、と言って笑えば、お兄ちゃんは目を弓なりにして私の頬を撫でた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…