1番後ろの席だから、先輩たちがこちらを見てヒソヒソと話しているのがよく見えた。
気まずくなって俯く。
「……お友達、良かったの?」
「んなこと、真佳が気にしなくていい」
ちょっとまだぶっきらぼうさが残ったお兄ちゃんがそう言う。
「でも」
入口の前に立つ先輩たちの視線が痛い。
そう言い籠もるとお兄ちゃんは深くため息をついた。
そしてペンケースのチャックを開けると、がちゃんとそれを床に落とす。もちろん中身は床に散らばった。
「な、何やってるのお兄ちゃん……! 急にどうしたの?」
慌てて拾いあげようと机の下にしゃがみこむと、お兄ちゃんも同じようにしゃがみ込んだ。
「もう」とシャーペンに手を伸ばすと、その手を覆うようにお兄ちゃんが私の手を掴む。
はっと顔を上げると、お兄ちゃんの反対の手は私の頬を捉えた。
掌から伝わる熱に、心臓がばくんと大きくはねる。