「お、お兄ちゃん?」


 夜、子どもたちを寝かしつけ、片付けと明日の準備を終わらせて自室に戻った。ゆっくりと扉を開けると、真っ暗な部屋には月明りがわずかに差し込む。

 私のベッドに寝転がるお兄ちゃんの姿があった。


 寝てるのかな?


 恐る恐る歩み寄りそばに腰を下ろした。すうすうと寝息が聞こえる。お兄ちゃんの長い睫毛が顔に影を落としている。


 どきどきしながら目元の星に手を伸ばす。


 いつもは見上げていたからずっと頬っぺたにあると思っていたけれど、本当は目尻の傍にあったんだ。


 後数センチで触れそうになったその時、がしっと勢いよく手首を掴まれた。


 ビックリして小さく悲鳴を上げると、お兄ちゃんがうっすら目を開けてにやりと笑う。