「真守くーん! 隣すわろうよぉ」

「え、ずるい!私も真守くんに勉強教えてもらいたいのに」


入口のそばで話していると、お兄ちゃんの友達と思われる女の子が話しかけてきた。



「やだよ。お前らそう言って真面目に勉強しねえだろ」



男の子っぽいぶっきらぼうな物言いに少しだけどきっとする。

前からずっと思っていたけど、お兄ちゃんは私と話す時とクラスメイトと話す時、全然雰囲気が違う。



「それに俺、もう席取ったから」

「へ?」



手首を掴まれて引き寄せられると、お兄ちゃんはそのまま強引に歩き出した。



「行くよ、真佳」

「わっ、わっ、待ってお兄ちゃん……!」



転びそうになるのを何とか堪えて、一番後ろの席のひとつの長机の前に並んで座った。