「私は、お兄ちゃんが本当に……」
ブランコから立ち上がろうと腰を浮かせた。その時、
「本当に大好き、だろ?」
お兄ちゃんがブランコの鎖を握る私の手を、上から強く握りしめた。何かを制すように、強く。
もしかして、お兄ちゃんは────気づいてるの……?
「もう十分わかったから」
“それ以上は言っちゃ駄目”
「俺たちは仲良し兄妹だなあ」
“俺たちは兄妹だろ”
お兄ちゃんの目がそう訴えかけているようだった。
さっき、お兄ちゃんは「胸を張れないような悪いことをした訳じゃない」と言った。でもこの気持ちは、誰にも言ってはいけない悪いことだったんだ。
胸が痛い。苦しい、息ができない。泣きたいの涙がでない。どうしてこうなってしまったの。
ああ、もう私たちは。
────兄妹には戻れない。