「何度も言ってるけど、血は繋がってなくても本当の兄妹だ。真佳は俺の大切な妹だよ」
ズキッ────。胸に鈍い痛みが走った。
え? と自分の胸を押さえる。
いままで、こんなことは一度もなかった。お兄ちゃんに「大切な妹だ」、そう言われるたび本当に心の底から嬉しくて胸がいっぱいになるのに、今はその言葉がとても苦しい。
どうして? 私はお兄ちゃんの妹、大好きなお兄ちゃんがそう言ってくれているのに。
戸惑いを追い払うように小さく首を振って、お兄ちゃんに笑顔を見せた。
確実に私の傍まで何かが近付いてきている、そんな気がする。流れ星の速さで、何かが形を変え始めていた。