あなたはひとりじゃない

まだまだ漣くんについては何も知らない。

「漣くん学校は?」

「白宮高校だよ。」

「そっか。じゃあ近いね。何時に家出る?」

「んー今日はふみちゃんと一緒にいるから行かない。」

「もうそんな可愛いこと言っても私は学校行くから漣くん休んでも家にひとりだよ?」

「えーじゃあ行く。」

「うん。偉いね」

そう言って私は漣くんの頭を撫でる。

そうすると漣くんは嬉しそうに私に抱きつく。

本当に年上かと思うほど漣くんは可愛い。

「ふみちゃんはどこ通ってんの?」

「私は藍沢学園だよ」

「女子校じゃない。男いるじゃん。心配だからいかないで。」


どうして昨日会ったばかりの私のことをこんなに溺愛してくれるんだろうか。


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。それに漣くんだって共学でしょ?漣くんはイケメンだからすごくモテちゃうし心配だよ。」

「大丈夫。僕にはふみちゃんしかいないから…」

「私にも漣くんしかいないよ。しかも私たち付き合ってるわけじゃないんだから好きな人できたら私のこと捨てていいよ。今まではずっとひとりだったから元の生活に戻るだけだしね?」

あぁ自分で言ってて悲しい。本当に捨てられるんじゃないか。その日はいつくるのか。本当は不安で仕方ない。怖い。

「どうしてそんなこと言うの?僕はふみちゃんのこと捨てたりしないよ?だからふみちゃんも絶対僕のこと捨てないで?お願いだから。ひとりにしないで。」

なんでこんなに大切にしてくれるんだろう。

「それに僕はふみちゃん以外の女の子に興味ないよ。ふみちゃんが高校卒業したら結婚しようよ。今日からふみちゃんは僕の彼女だよ?他の男になびいたらダメだよ?そしたら僕その男に何するかわかんないよ?」

漣くんはほんきだ。そう思ったし私もこの人と一緒にいたい。

「うん。わかったよ。結婚しようか。今日から彼氏としてよろしくね漣くん。」

結婚しよう。そんな言葉他の人だったら重いとか口だけって思うかもしれない。でも私たちにとっては大切な言葉なんだ。お互いに家族がいないから家族ができるってそれくらい幸せなことなのだ。