いたい、いたくない




鎖骨に、そっと歯が当てられる。

でもそれは本当にただ当てられただけで
力を加えられることはない。


ほとんどキスと同じだった。




「千花……いたい?」


心配げな声。


「ううん…──いたくない」




いたくない。

痛みの代わりに、噛み痕は甘く痺れる。




「俺は……すごく、いたい」



真純くんの「いたい」の意味を知って
こうして囁かれて

痛いのは噛み痕じゃなくて、心だ。