どうやらこのお茶会に参加した貴族令嬢達はアゼッタと顔馴染みのようで、イリアのことも少なからず知っている様子だ。

ただ研究オタクという変な噂が流れていれば、この仲で溶け込むことはできないと心配していたが、皆怪訝そうな目を向けてくることはない。

どちらかと言えば寧ろ興味津々といったご様子で、とりあえず微笑んでおくことにした。

「こんな形で一緒にお茶出来るなんて、すごく楽しみにしていたんです」

「アゼッタからは色々聞いています。有名な発明家のお父様がいらしたんでしょう?」

「イリア様も研究熱心で、御自分の屋敷の庭の水やりの自動装置だとかも手がけたそうで!すごいです!本当に!」

屋敷で生活するようになってから、こんな興奮した視線を向けられたのは初めてだった。

一部の人間からは感謝されるような言葉を投げかけられたこともあったが、大体の視線は呆れ混じりの冷たい視線ばかりだったというのに。

その視線から逃れるように別荘へと逃げ、そこでの研究を積み重ねてきた。

縁談が持ちかかっても、全ての縁談でイリアの研究への熱い想いが呪いだとか何かに取り憑かれているだとかで見下される……そんな生活の繰り返しを送ってきた彼女には、真っ直ぐに受け入れてくれる少女達の眼差しがとても優しかった。