「俺、オマエに質問してるんだけど」


「っ……」



 しゃべれないというか……

 怖さでのどが固まって
 声が出てこないだけです。




「俺の言葉を無視する女、
 初めてなんだけど」
 


 瞬間冷凍されそうなほど冷酷な目は
 まだ私に突き刺さったまま。




「それとも、何?
 オマエも俺に告りに来たわけ?」



 告るって……
 告白のこと??



 どこの誰かもわからないのに

 なんでそんな勘違い
 されちゃいました??




「ち……違います!
 私はあの……一人になりたくて……」


「俺のストーカー?」



 え?



「俺が一人になるまで、後をつけてきたとか?」


「違いますってば!」


「警察に連行していい?」


「だから。髪が紫の男の人を見たのも、
 人生初なんですから!!」




 勇気をかき集めて
 心の声をぶつけてみたけれど。



「やベッ。必死過ぎ。マジで笑える」



 なぜか彼は
 声をあげて笑い出した。