「千柳さん、聞いてる?」
角が映えそうな悪魔に睨まれ。
プハッ。
抑えきれなかった笑いを、
天音に吹きかけてしまった。
やばっ。
可愛い悪魔を見ていると、
笑いが止まらない。
「千柳さん、
ここ、笑うとこじゃないからね」
「だって天音が、悪魔モードだったから」
「へ?」
「ここは天音の天使の微笑みで、
俺の頭をナデナデして。
俺の背中を押すところでしょ?」
「千柳さんって……
綺月君よりウザい……」
そんなこと言って。
天音はウザい綺月も俺も、
嫌いじゃないくせに。
「俺が玉砕したら、
天使モードで癒してね」
ハチミツのように甘い声を、
天音の耳に吹きかけると。
腕時計を受け取り。
俺は楽屋から飛び出した。