「天音、こちらこそありがとう」
「へ?」
「天音を見てたら、
俺も逃げてちゃダメだなって
素直に思えたよ」
「じゃあ、交換条件成立だね!」
天音の顔が、晴れやかな天使……
いやいや……
それを通り越して、悪魔モードに。
嫌な予感がする。
嫌な予感しかしない。
今まで真っ白く見えていた
天音のオーラが
なぜかショッキングピンクに変わり、
ギラギラ光りだしたから。
「天音……交換……条件って??」
「僕はアイドルになる。
その対価として、
千柳さんは何をしたらいいと思う?」
悪そうに微笑む天音。
机の上に置いてある俺の腕時計を手に取り、
俺の顔の前で揺らしだした。