分かってねぇのはバカ陽太だけだ。

「……寂しい、んですかね。あんまりそういう感情、わからないんです」

はは、と乾いた笑いをした女。

「そっか。千桜ちゃんの居場所はここにあるからね」

「料理悪くないし、いてくれて構わないよ」

「せやせや!千桜は特別やからな!」

「ありがとうございますっ」

この笑顔に、騙されそうになる。

信じちゃ、ダメだろ……。

────

その日の夜中、いつものように俺は月を見ていた。

今日は下弦の月か。

その時。