「もし、千桜ちゃんの近くにいたとしたら」

私の近くに?

「別に、どうもしませんよ?」

私の回答に、全員が驚いた顔をした。

「意外だな千桜。お化けとか怖がるのに」

「吸血鬼はお化けじゃないです」

「それが殺人吸血鬼と言われてても?」

……?

「誰かが見たわけじゃないですよね。ただの憶測で相手を傷つけるのは、よくないです。それに……吸血鬼は、人を殺さないと思うんです」

「なんでや?」

「だって、人を殺してしまったら血が飲めなくなってしまうじゃないですか」

そう言って微笑んだ。

そんなメルヘンなこと、ないと思うけど。