「あったかい?」

「……ん」

きっと、この子なら俺のことを受け入れてくれるんだろう。

喜んで、呪いを解いてくれるだろう。

でも……ダメだ。

千桜に血なんて、まずいだけだ。

「……千桜、好きだよ」

「私もです!」

「ほんと……どうしようもないくらい好きだよ」

月明かりの下、俺は千桜に抱き締められていた。

この心地のよい匂いに包まれながら……。

お互い無言のまま、時が進むだけだった。