……千桜か。

「入れよ」

「失礼しまー……す」

そーっと入ってきた千桜。

俺の真向かいにちょこんと座った。

「……月って、なんでウサギがいるんだろ」

ポツリと、呟いた千桜。

「いると思ってんの?」

「……小さい頃見たの。といっても、捨てられたとき……月がとても綺麗で、ウサギがいたんだよ」

切なげな顔。

……ウサギ、か。

「会ってみたいなぁ」

「……待ってろ」