「……俺が契約しなきゃいい話だ」

「………京、そんなに嫌か?生きるの」

一茶が、悲しそうに言った。

「俺はもう、諦めてんだよ……。今さら生きがい見つけて、死ぬのが怖くなるのが嫌なだけだ」

「でも、大切なんだろ?千桜まるが」

……気づきたくなかった。

死ぬのを決定してる俺に、こんな……。

こんな……“初恋”という、綺麗な気持ちなんて……気づきたかねぇよ。

その時。

──バダンッ!

上で、そんな音が聞こえた。

「千桜!?」
慌てて階段を上がって千桜の部屋を開けた。