「あんた、星原くんのこと好きなんでしょ?」




不意に落とされた言葉に「……、え?」と声が洩れる。星原くんの席から視線を戻すと、肩を組んだままずいっと顔を近づけた山岸さんと目が合った。


わたしの反応をみてさらに自己解釈を進める山岸さんが、「あー、やっぱりね?」と口角をあげる。




「先週、2人して午後の授業サボってたもんね?まさかなーとは思ったけど、今週星原くん休んでて、あんたずっとチラチラ隣の席見てるしぃ〜」



人は、思っているより自分のことなんて見ていないと聞くけれど、そんなのは嘘だと思う。そのケースが当てはまるのは自意識が強いか全く自分に自信がない人くらいだ。



「好き」と「嫌い」に侵されて生きている。


好きな人のことは知りたいし、友達のことは気にする。嫌いな人のことは、相手のする行動言動すべてが癪に障るし、殺したいほど憎い相手は ふとした時に脳裏をよぎって、いつどんな方法なら殺せるのかと考える。


山岸さんたちの場合は、わたしのことが気に食わないから、常にどこを弱みにして精神的に痛めつけることができるのかを考えてあらを探している。

だから、わたしのことをよく見ている――いや、監視しているのだ。