このせかいに在るがまま







4階までの階段を上りきった先、おそらく屋上に繋がるであろう扉があった。


黄色と黒のロープでがちがちに固定されたドアノブ。外部から入れないようにしているのだろう。どうするの?と聞こうとは思わなかった。


星原くんはここの常連だから、きっと開ける方法があるのだろう。




「この学校、まじで警備ゆるいんだよね」




予想通りだった。

星原くんはドアノブに手をかけると、黄色いテープに構うことなくガチャリとそれを回す。ギイィ…と金属の擦れる音とともに、古びた扉はいとも簡単に開いた。




「…やっぱ今日当たりだ」




すこし冷たい空気が頬を切る。星原くんのちいさな呟きが、せかいに一番ちかい空気の中に落ちる。





───そこには、たしかにせかいがあった。