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「…もうこんなに時間たってると思わなかった」
「学校じゃ、昼休みが来るまでですらあんなに長いのにね」
「本当だよね…」
「楽しい時間はあっという間ってことじゃない?」
スポッチャを出て、お互いなんとなくで来た道をたどって歩く。
楽しい時間はあっという間なんて、同じ時間が流れているだけなのに変な話だ。
わたしはこれまでの人生で、何に対しても 早く終われと思うことの方が多かった。
山岸さんたちに絡まれた時も、滝口くんに触られたときも、両親が生きていた頃に 話しかけてきたときでさえも、わたしはだれかと共有する時間を嫌っていた。
それでも、星原くんとやりたいことリストを作ったのがつい数分前かと思えてしまうくらい、この半日があっという間だったのだ。
星原くんと共有する時間がこのまま終わらないでほしいと、そんなことさえも思ってしまう。
わたしにもそんなことを思える感性が残っていたんだなと思うと、なんだかくすぐったい気持ちになった。



