Noelの近くにあるスポッチャに入るとき、陽はだんだんと暮れ始めていて、空はオレンジ色に変わりつつあった。
駅が近いこともあってか、下校する制服姿の学生の姿も多く見られて、同じ学校の制服を見かけるたびに、サボっていることが見つからないように少し俯いて歩いたり、キャップを深くかぶったりしてやり過ごした。
「なんか悪いことしてるみたい」
「サボリだから、まあ一応悪いことしてと言えばそうなるけどね」
「もし、山岸たちも今日スポッチャ行こって話になってたらどうする?」
「…逃げる。色々面倒なことになりそうだから」
「まあ、懸命かもね」
「…でも、すこしだけ」
「うん?」
「すこしだけやってみたいのは、……ダーツの矢で、心臓を」
「刺す?」
「…うん」
「はは、かなり物騒」
――でもいいね、いつか本当にやってみたい



