このせかいに在るがまま






ふと、目に付いたのはぽつんと置かれた写真立てだった。



何気なく、本当に何気なく。わたしは好奇心で棚の方に近づき、その写真立てを見つめた。


写真の中の4人の人間は、桜の木の下で寄り添いあっている。察するに家族写真だろう。



まだ幼い顔つきの、ランドセルを背負った少年は星原くんだと思われる。綺麗な顔はこの頃から健在だったみたいだ。


周りにこんな美形がいたら そりゃあ男の子だって嫉妬して上靴をビショビショにしたくなってしまうよな…と当時のいじめっ子の気持ちに共感してしまった。




隣に立つ少女は星原くんのお姉さんだろうか。

黒くて長い髪の毛を耳の辺りで2つに結わえて、セーラー服を着ている。


左右の目は一重と奥二重。鼻は低く、おでこが狭かった。キュッと結ばれた薄い唇。



写真の少女はわらってはいなかった。


パッと見の顔つきは全然似ていないけれど、彼女の纏う雰囲気はなんとなく星原くんと似通ったところがあり、血のつながりを感じた。



「星原くん」

「うん?」

「お姉さん、星原くんに似てるね」